ペット保険に入っておくと心強いですが、月々の保険料の支払いも気になりますよね。柴犬のアトピー性皮膚炎をはじめ、犬種ごとに“かかりやすい病気”があります。事前に知って保険を選べば、安心して手厚い医療を受けることができます。
この記事では「加入したほうがいい?」「入るなら一体どれを選べばいいの?」と迷っている方のために、ペット保険の基礎知識と選ぶ基準について紹介します。
目次
犬の医療費って、意外と高額なんです!
愛犬の病気やケガの際は、できる限りの治療をしてあげたいもの。手厚い医療を受けさせるために、ぜひ入っておきたいのが「ペット保険」です。
……と頭では分かっていても、本当に必要なのか迷う方も多いですよね。「保険に入らずに、その分お金を貯めておけばいいのでは?」と思ってしまうのもうなずけます。
でも犬にかかる医療費は、決して安くありません。いざ動物病院に連れて行って、請求額の高さにビックリする飼い主が多いんですよ!
たとえば、柴犬が緑内障と診断されたケース。「最近よく涙を流しているけど、どうしたのかな?」と軽い気持ちで動物病院に連れて行ったところ、緑内障になっていることが発覚!手術することになり、入院代もあわせて30万円……という経験をした方も少なくありません。
そして「できものが腫れてかゆそう」と思って診察を受けると、レントゲンを撮り、薬を塗ってもらい、塗り薬と内服薬をもらって1万円といったことも珍しくありません。
なぜこんなに犬の医療費が高いかというと、犬には公的な健康保険制度がないため。医療費は飼い主の全額負担なんです。
金銭的に余裕のある生活をしていれば、愛犬の具合が悪くなっても大丈夫かもしれません。でも、動物病院に行くたびに財布から1万円消えていく……やはり負担が大きいですよね。
でもお金がかかるからといって、動物病院に連れて行かないわけにはいきません。ましてや手術ともなれば数十万円単位でお金がかかります。だからこそ、やはりペット保険に加入していると安心なんです。
犬種ごとに“かかりやすい病気”があります!
日本犬を飼うなら知っておきたいのが、柴犬や秋田犬など、犬種ごとにかかりやすい病気があるということです。
ずっと元気でいられるかもしれません。でも、いつ病気になるかも分かりません。
ペット保険に入っていると、お金の心配をせずに診察させてあげられます。そう考えると「安心料」としてペット保険に加入する価値はありそうですね。
ペット保険による補償を受けようと思ったら、「発症前に加入していること」が条件です。後悔しないように“日本犬がかかりやすい病気”を把握しておきましょう。代表的な病気を紹介します。
(1)アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、柴犬や紀州犬に多い病気です。ひとたび発症すると、完治させることは困難です。基本的に生涯付き合っていくことになるため、通院のたびに医療費がかさみます。
そんなときに頼りになるのがペット保険……のはずですが、落とし穴があります。実は、アトピー性皮膚炎を「補償の対象外」としている商品もあるんです。
柴犬や紀州犬のペット保険を選ぶ際は、アトピー性皮膚炎が補償対象に入っているかどうかをチェックしてくださいね。通院回数が多くなるので、通院補償が手厚いペット保険を選ぶこともポイントですよ~!
(2)白内障や緑内障
白内障や緑内障は、柴犬や秋田犬、北海道犬などに多い病気です。初期は点眼薬による治療を行いますが、症状が進めば視力回復のために手術を行うことも多く、数十万円の費用がかかります。
年を重ねると、白内障や緑内障になるリスクが上がります。早めにペット保険に入っていれば、医療費の負担が軽くなるので安心ですね。
アトピー性皮膚炎と同じく、白内障や緑内障を補償対象外としている商品もあります。加入前に必ずチェックしましょう!
(3)認知症
日本犬は、認知症にかかりやすい傾向があります。特に柴犬や紀州犬、甲斐犬、北海道犬などは代表例です。
治療は主に、進行を遅らせるための投薬を行います。基本的に、発症してからは補償対象外となります。なるべく早めに加入しておくと安心ですよ~。
(4)遺伝性疾患(GM1ガングリオシドーシスなど)
犬にも人間と同じように、親からの遺伝で発症する「遺伝性疾患」があります。日本犬で多いのは、次の3つです。
- GM1ガングリオシドーシス・・・・・柴犬に多い。
- 進行性網膜萎縮(PRA)・・・・・・・・柴犬や秋田犬、日本テリアで発症しやすい。
- コリー眼異常(コリーアイ)・・・・北海道犬に見られる。
もちろん病気の遺伝子を持っているからと言って、必ず病気になるわけではありません。でも、ひとたび発症すると大変です。寝たきりになったり失明したり、健康な生活が過ごせなくなります。もちろん飼い主にも医療費の負担が重くのしかかります。
そんなときこそペット保険の出番ですが、注意したいことがあります。実はほとんどの保険が、遺伝子性疾患の治療費を「補償の対象外」としているんです。
もし発症リスクがあるなら、遺伝子性疾患も補償対象としているペット保険を選ぶことが欠かせません。
そこで近年注目が集まっているのが「犬の遺伝子検査」です。検査をして、事前に“かかる可能性がある遺伝性疾患”を把握していれば、ペット保険選びに生かすことができますよ~!
犬の遺伝子検査については、別記事「愛犬の病気予防に!最近話題の『犬の遺伝子検査』とは?」で詳しく紹介しています。検査で分かる病気やおすすめの検査キットも紹介しています。ぜひ参考にしてくださいね!
元気な子犬の時期は、まだ必要ない?
ペット保険が必要だと考えていても、「すごく健康だし、小さい頃は必要ないかも」「もう少し先の加入で良さそう」と思う方も多いようです。
たしかに、元気に飛び跳ねる子犬を見ていると、病気とは無縁のような気がしてしまいますよね!
でも子犬期は、とてもやんちゃな時期。健康でもケガをしたり、健康だからこそのトラブルもあったりします。特に気をつけたいのが「誤飲」と「骨折」です。この二つは、圧倒的に0~1歳の子犬期に多いんですよ~。
(1)誤飲
誤って異物を飲み込んでしまうのは、ほとんどが子犬です。おもちゃやビニール袋、そして靴下まで!思いもよらぬものまで飲み込んでしまうんです。
飲み込んだ異物が消化管につまると、手術が必要になります。病院によってかかる費用は違いますが、手術をすれば目安は10万円以上です。診察だけの場合でも、2万円近くかかることも少なくありません。
(2)骨折
骨折も子犬に多いケガです。まだ骨がもろいので、特に小さい犬は要注意。遊んでいるときに骨折してしまうケースも決して珍しくありません。
骨折も費用がかかります。手術をすれば20万円以上、診察と治療だけで5万円かかるケースも……。
子犬期は、本当に何があるか分からない時期です。走っていてすべって転ぶ、ソファから落ちる、階段でこける、床にあるものを何でも口に入れるなど、想定外のことをしがちです。
飼い主もまだ、飼うことに慣れていない時期です。突発的な事故が起こって、ヒヤヒヤすることも多いんです。
犬の場合、生後30日から入れる保険がほとんどです。「何かあったら」と考えて、お守りがわりに入っておくと安心ですね!
6~7歳ごろから病気が増え始めます!
ペット保険の加入を迷う方に多いのが「うちの子は健康だから」という理由です。ずっと病気知らずで過ごしてきた愛犬を見ると、ペット保険に入る必要があるのか迷う気持ちはすごく分かります。
ただし、犬を飼った経験のある方が口を揃えていうのが「年をとると急に動物病院にかかることが増えた!」ということなんです。
実際に経験談を見てみると「病院にかかる頻度が7歳ごろから増えた」「病気知らずだったのに、6歳ごろから急に病院にかかることが増えた」など、犬種によっても違いますが6~7歳あたりが一つの境目です。
そう、年齢を重ねると、どうしても病気のリスクが高くなります。関節が弱くなるためケガも増え始めます。認知症を発症して、途端に心身が弱る犬も出てきます。
「シニアになってからは、毎月薬代が1万円ほど必要になった」「息を引き取る前の通院だけで数十万円かかった」などの声も多く、医療費がぐんと上がるのが分かります。
思う存分医療を受けさせてあげるためにも、ペット保険に入っておくと安心ですね!
ちなみに犬の場合、新規加入時の上限年齢は8~10歳が一般的です。10歳を超えても入れる保険もありますが、月々の保険料は高め。加入するなら、なるべく早めに入っておくことをおすすめしますよ~。
加入前に知っておきたいペット保険の基礎知識
ペット保険に入る前に、知っておきたい基礎知識を見てみましょう。
(1)1年ごとの掛け捨て型です
人の保険と大きく違うのが、ペット保険には積立できる貯蓄型がないということ。ペット保険はすべて、1年ごとの掛け捨て型なんです。
逆の言い方をすれば、一年だけ入るのも簡単ということ。「とりあえずケガが多い子犬の時期だけ入る」「まずは一年入ってみて、翌年は違う保険に変える」といったこともしやすいですね!
(2)補償対象は「通院」「入院」「手術」
ペット保険では大きく分けて、「通院」「入院」「手術」が補償対象となっています。どの補償を手厚くしたいのかを考えて、商品を選びましょう。詳しくは後ほど説明しますね~。
(3)すべて補償されるわけではない!
ペット保険が補償するのは、あくまで「加入後の」「医療行為」にかかった費用です。加入前に発症した病気やケガは、原則として補償されません。医療行為でない場合も、補償対象外です。
たとえば、ペット保険に入る前にアトピー性皮膚炎にかかっても、補償対象にはならないということ。予防接種や健康診断も補償対象外です。去勢・避妊手術なども補償されませんので、注意しましょう。
(4)「立て替え精算型」が一般的
ペット保険はいったん全額を自己負担して、後日郵送で保険金を請求する「立て替え精算型」が一般的です。
一部ですが、動物病院の窓口で自己負担分だけを支払う「窓口精算型」もあります。たしかに便利ですが、取り扱っている保険会社はアニコムとアイペットのみ。しかも保険料は割高になる傾向があります。
また、支払はペット保険会社と提携している病院に限られます。すべての病院で窓口精算が可能なわけではないので、事前に確認してくださいね!
(5)特約をつけることもできます
ペット保険には、「特約」と呼ばれるオプションを追加することもできます。月々の支払いに費用が上乗せされるので保険料はアップしますが、うまく活用することで補償内容が充実しますよ~。
https://petraku.com/pethoken-kihon-11901.html
ただしペット賠償責任特約(個人賠償責任保険)については、ぜひ火災保険や自動車保険、クレジットカードの特約も確認してみてください。年間プラス1,000円ほどで特約をつけられることも多いんですよ!費用も安く、補償額も高いことが多いのでお得です。
もしかすると、知らない間に「個人賠償責任保険」に入っているかもしれません。まずは加入している保険の特約も確認してみてくださいね。
ペット保険の選び方
ところで、ペット保険はどうやって選べばいいのでしょうか?
判断する際に考えたいのが、かける費用と補償内容のバランスです。無理なく払える保険料で、必要な補償がきちんとカバーされているものを選ぶことが大切ですよ~。
そこで重要な「補償範囲・補償割合・免責」の3つの視点から、ペット保険の選び方を解説します。
(1)補償範囲
まずは通院や入院、手術のうち、どの補償を重視したいのかを考えましょう。
ペット保険には、すべてバランスよく補償するタイプの商品もあれば、特定のものを重視するタイプもありますよ~。
◆ペット保険初心者の方
はじめてペット保険に加入するときって、何を選んでいいのかよく分からないですよね。それなら「通院・入院・手術」すべてを幅広く補償するスタンダードなタイプがおすすめです。
月々の支払いがやや高めですが、補償範囲が広いので安心です。ペット保険の中で最も商品の数も多いので、豊富なラインナップの中から合うものを選べますよ~。
◆もしもの高額出費に備えたい方
手術を受けると、何十万円という費用がかかります。高額な費用がかかる手術や入院に備えたいなら、「手術・入院」重視タイプがおすすめです。
子犬の時期は、誤飲や骨折といった思わぬトラブルによる手術も考えられます。手術や入院の補償が手厚い保険に入っていると、万が一のときも慌てずに済みますよ~。
通院補償はありませんが、保険料が比較的低いのが魅力です。月々の出費を抑えながら、もしものときに備えることができますよ~。
◆慢性疾患にかかりやすい犬を飼っている方
柴犬や紀州犬のように、アトピー性皮膚炎など慢性疾患にかかりやすい犬を飼っていると、通院回数が増えます。毎回の費用負担を軽くするためにも、通院重視タイプがおすすめです。
手術や入院などの補償はありませんが、積み重なると高額になる通院を重点的に保障してくれます。安心して通院することができますね!
(2)補償割合
次に考えたいのが「どれぐらい費用負担してもらえるとうれしいのか」という点です。医療費のうち何%負担してくれるかを示す数字を「補償割合」といいます。
ペット保険の補償割合は、主に次の5つです。
- 50%補償
- 70%補償
- 80%補償
- 90%補償
- 100%補償
医療費がかかった際、この補償割合に応じて保険金が支払われます。
たとえば動物病院での支払いが1万円だった場合。補償割合が50%なら、保険会社が5,000円負担してくれます。飼い主の最終的な負担は5,000円ということです。もしも90%補償なら、飼い主は1,000円の負担で済むということです。
ただし、補償割合が大きくなればなるほど、保険金が高くなってしまいます。どれを選べばいいのか迷うところですよね……。
たとえば秋田犬などの大型犬は、一回の治療費が高めです。補償割合が高いものを選んだほうが安心です。
そして遺伝的な要因を持っていない犬の場合は、丈夫であまり病気にかからず、病気になっても治療費もそれほど高くないことから、補償割合が低い保険でも大丈夫です。
毎月の保険料とのバランスで選んでくださいね!
(3)免責
ペット保険を選ぶ際、忘れずにチェックしたいのが「免責」です。
たとえば「アトピー性皮膚炎」「遺伝性の病気」「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」などが免責になっていると、補償が受けられないのです。
ここに挙げた三つとも、柴犬がかかりやすい病気です。必ず加入前に調べてくださいね!
また保険によっては、補償対象を「治療費3万円以上」としている場合もあります。たとえば一回の医療費が1万円なら、保険金は支払われないということです。
「1万円ぐらいの治療費のときでも、保険金を受け取りたい!」という場合は、「最低補償金なし」の商品を選んでください。ただし保険料は割高になります。
もし「とにかく保険の月額料金を抑えたい!」という場合は、「最低補償金あり」の商品を選びましょう。免責はないに越したことありませんが、免責があることで月々の保険料が低く設定されますよ!
まとめ
ペット保険は“もしものときのお守り”です。愛犬の手厚い医療のためには、家計に負担のかからない保険、それでいて必要な補償がある保険を選びたいものですね。そのためにも、まずは多くのペット保険を見て比較することが大切です。
ペット保険には、インターネットで申し込んだ際に適用される「インターネット割引」や、過去1年間に保険金の支払いがなかった場合に適用される「無事故継続割引」など、割引制度もいろいろあります。ぜひ十分に比較して、お得で頼りになるペット保険を探してみてくださいね!