真っ白な毛並みが美しい紀州犬は、和歌山県や三重県原産の日本犬です。とても丈夫で日本犬の中でも人気が高く、柴犬に次いで2位の飼育数を誇ると言われています。
紀州犬の特徴や性格、寿命など、飼うなら知っておきたい紀州犬の情報をまとめました!
目次
紀州犬って、どんな犬?
まずは、紀州犬はどんな犬なのかを紹介します。
紀州原産の日本犬
紀州犬はその名の通り、“紀伊の国”に生息していた日本犬です。山岳地帯で、イノシシやシカなどの猟犬として活躍していました。
一言で紀伊の国といっても範囲は広く、和歌山県や三重県などに及びます。そのため那智犬や太地犬、熊野犬など、地域名がついた土着犬がいました。
そんな中、「公益財団法人 日本犬保存会」によって一つの犬種にまとめられることに。そして「紀州犬」が誕生したのです。
全身真っ白な毛並み!
紀州犬といえば、何と言っても全身真っ白な毛並みが魅力です。
頭からしっぽまで、全部白!子犬はまるで、シロクマのぬいぐるみのよう。とても可愛いですよ~。
2002年公開の邦画『白い犬とワルツを』にも紀州犬が登場していますね!
妻に先立たれた孤独な老人と、白い犬との交流。ファンタジーに心温まり、紀州犬の美しさにも見とれてしまう映画です。
弘法大師を導いた、“案内犬”!?
紀州犬の祖先犬には、弘法大師にまつわるエピソードが伝わっています。
今からおよそ1200年前、当時はまだ空海だった弘法大師が、霊場を訪ね歩いていたときのこと。2匹の犬が現れて高野山まで道案内し、開山したのだとか。
なんとその犬が、紀州犬の始まりだというのです!
2017年、世界遺産の丹生都比売(にうつひめ)神社に、「すずひめ号」が奉献されたニュースをご存じですか?
丹生都比売神社は、高野山とゆかりが深い神社。そこに弘法大師を導いたという紀州犬の奉納……歴史やロマンを感じますね!
紀州犬の特徴!大きさや毛色は?
紀州犬の大きさや毛色など、特徴を見てみましょう。
紀州犬の特徴(1)体高はおよそ50cm!
紀州犬は中型犬です。
- 大きさ(体高)・・・・オス52cm、メス49cm
- 毛色・・・・・・・・・・・・・・白、赤、胡麻
(参考)一般社団法人 ジャパンケネルクラブ「世界の犬 : 5G 原始的な犬・スピッツ : き : 紀州 – KISHU」
紀州犬の体高は約50cm。中型犬の中では、やや大きめの部類に入ります。
紀州犬の毛色は、白がほとんど。約95%を占めると言われていますよ~。
白以外の毛色も
紀州犬の白には、真っ白だけでなく耳から背、尾にかけて赤(茶)がかった毛色の「ヨゴレ白」と言われる毛色もあります。
上記写真の紀州犬が「ヨゴレ白」です。
展覧会で上位にいるので分かるとおり、けっして悪い色ではありません。
他に黒に茶が混じる胡麻の他、白に灰(グレー)が混じる白胡麻がいます。
昔は黒一枚、赤一枚もいましたが今はほとんど見ません。他にわずかに斑(ぶち)もいますが、紀州犬に虎毛はいません。
紀州犬にも黒、胡麻、斑といろいろな毛色がいましたが、結果的に白が増えてしまいました。
その理由は、猟の時に獲物と見間違いにくいからとか、日本人が白が好きだからとか様々あり、さらに白×白の交配では絶対的に有色は生まれないため数を減らしてしまったようです。
現在では有色の紀州犬は、有志が必死で守っている状況となっています。
紀州犬の特徴(2)凛とした美しい容姿
紀州犬は均整のとれた体をしています。美しい容姿に、思わず惚れ惚れしてしまいますね!
猟犬として発達してきた紀州犬は、筋肉質でよく引き締まっています。優雅で力強く、たくましい……そんな美しさのある犬です。
紀州犬の特徴(3)知的なハンサム顔!
紀州犬は、顔もハンサムです!
日本犬特有の、ピンと立った三角形の耳に、賢そうな細めの目。そしてキレイに鼻筋が通った、端正な顔立ち。なんだか知的な雰囲気が漂いますよね。
紀州犬の性格は?
次は、紀州犬の性格を見てみましょう。
紀州犬の性格(1)穏やかで忍耐強く、飼い主に従順
これまでに「紀州犬=気性が荒い」という情報を見かけたことがあるかもしれません。
紀州犬は本来、穏やかで忍耐強く、落ち着いた性格をしています。他の日本犬と同じく、信頼した飼い主に忠誠を誓い、しっかりと尽くしてくれますよ!
紀州犬の性格(2)警戒心が強く、攻撃的な面もある
本来は穏やかな気質の紀州犬ですが、猟犬としての本能は残っています。闘争本能を見せるときがあることを覚えておいてくださいね。
警戒心が強いため、一気に距離を縮めようとすると逆効果になることも。吠えたり噛んだりする恐れもありますから、慎重なしつけが欠かせません。
そういう意味では、紀州犬は初心者には飼いにくい犬といえます。
ある程度、犬に慣れた方のほうがいいですね。
なお自治体によっては、紀州犬を「特定危険犬種」指定している場合もあります。
その場合、「特定犬のシールを見やすい場所に貼る」「檻の中で飼う」といった条件付きで飼育が許可されます。
紀州犬の性格(3)人懐っこく、甘えん坊な一面も!
紀州犬は人懐っこく、甘えん坊な性格をしています。
穏やかだけれど、ときには勇敢さを見せ、そして人懐っこい……多様な性格をもつ犬なんです。
紀州犬のいい面を引き出せるか否かは、飼い主次第。ぜひ「紀州犬の飼い方としつけ!散歩やトイレトレーニングは?」を参考に、信頼感を築いて良いパートナーになってくださいね。
紀州犬の寿命は?
紀州犬の平均寿命は、一般的な中型犬とほぼ同じです。
とても丈夫な犬種ですが、発症しやすい病気の一つに甲状腺機能低下症があります。緑内障を発症する可能性もあるので、気をつけてあげましょう。
詳しくは、「紀州犬がかかりやすい病気は?」を参考にして、健康な状態を保ってあげてくださいね。
寿命をまっとうさせるために気をつけたいのが、十分な運動です。
もともと猟犬だった紀州犬は、体力十分で運動が大好き。
紀州犬は運動が必要な犬ですので、スポーツ感覚で飼い主もこころして飼いましょう!
雄犬は3歳ごろまで平気で10キロぐらい走ります。
自転車やバイクを利用して運動する飼い主さんもいるくらいです。
ちなみに、東京都は都条例により自転車で犬の散歩は禁止されていますので、気をつけてください。
まとめ
本来は穏やかで賢い紀州犬ですが、猟犬としての闘争本能は残っています。自治体によっては、特定危険犬種に特定しているところもあり、初心者向きとは言えません。
犬の飼育に慣れていて、紀州犬の性格を読み取りながらしつけができる方は、紀州犬を飼うのに向いています。また、紀州犬は活発で運動が大好きなので、一緒に運動を楽しみたい方にも向いています。
紀州犬との暮らしには、経験と思いやりが必要です。その分、信頼関係が築けたときには、かけがえのないパートナーになれますよ!
参考資料