たまたま日本テリアを見かけた小学生の息子たちが「かっこいい!飼いたい!」と言い出したら、どうすべきか迷いますよね。犬を飼うことは、情操教育の面ではいいこと。でも子どもと相性が良く、家族の生活スタイルに合う犬種でなければ、負担になる可能性もあります。
そこで今回は、「小学生の男の子が二人いるご家庭」をテーマに、日本テリアを飼うことはおすすめできるのかどうかを、さまざまな観点から検証しました。
目次
日本テリアは、比較的“飼いやすい犬”です
日本テリアは「小学生の男の子が二人いるご家庭」で飼いやすい犬です。
日本テリアは、“抱き犬”として愛されてきた家庭犬です。だから、基本的に性格が穏やかで、子どもとも仲良くすることができます。しかも小型犬なので、まだ身体が小さい子どもでも抱っこしやすく、一緒のおでかけも楽なんです。
どんな点が飼いやすいのか、具体的なポイントを詳しく見てみましょう。
(1)穏やかでおっとりした性格
子どもがいるご家庭で犬を飼うなら、穏やかで落ち着いていて、子どもと過ごすことにストレスを感じないタイプが理想です。
あまりに攻撃的な犬種だと、子どもとうまくやっていけません。小学生というと、男の子はいたずらざかり。万が一やんちゃしたときに、過剰に興奮してすぐ噛みつくような犬だと心配ですよね……。
個体差はありますが、日本テリアは基本的に温厚な性格です。子どもと一緒に過ごすには、ぴったりの犬種と言えるでしょう。
おっとりしているので、子どもが昼寝しているときや勉強しているときに、大声で鳴いたりする心配もなさそうですね!
日本テリアの性格について詳しくは、「日本テリアの性格」をご確認ください。
(2)体重4~5kgの小型犬
あまりに大きな犬を飼うと、子どもがじゃれたときに体格負けする可能性もあります。力も強いので、散歩に連れて行ったとき、リードを引っ張られてしまわないかも気がかりでは?
そもそも、大型犬を飼おうと思うと広いスペースが必要です。マンション暮らしなら、基本的に大型犬を飼うことはNGなんです。
日本テリアは成犬になっても体重4~5kgほど。多くのマンションで飼育OKですし、子どもが力で圧倒される心配もありません。軽いので、小学生でも抱っこしやすいですよ~。
(3)手入れが楽!
子どもが「飼いたい!」と言い出しても、結局ほとんどのお世話をするのは“お母さん”というのが現実です。お母さんは何かと大忙し。どうしても犬のお世話をする時間が限られますよね。
日本テリアは「超」がつくほどの短毛です。だから、頻繁なブラッシングやトリミングは不要。そのお手入れの楽さも、かなり大きなポイントです。
長い毛をもつ犬種だと、お手入れを怠るとすぐに毛玉になってしまいます。でも日本テリアなら大丈夫。なにせ毛の長さが2mmほどしかありません。
散歩に連れて行くと、「この犬、毛が生えないんですか!?」「裸みたい!」と驚かれることも多いのだとか。どれほど超短毛かが分かりますね。
汚れが気になったら固く絞ったタオルでふき、軽くブラッシングしてあげれば大丈夫。抜け毛のお掃除も楽々です。散歩の後も、足裏を洗ってあげるだけでOK。毛が短いので、すぐに乾きますよ~。
(4)さほど長時間の散歩は不要!
犬を飼うと、大きな時間を占めるのが「散歩」ですね。子どもたちが「散歩にも連れて行くから!」と言って飼い出しても、実際に連れて行くのはやはりお母さんです。
そもそも年齢などにもよりますが、小学生の子どもだけで散歩に連れて行くのは、心配です。結局は、子どもとお母さんが一緒に行くことになりますよね……。
日本テリアは身体を動かすことは大好きですが、さほど長い時間の散歩は必要ありません。育児だけでも大忙しのお母さんにとって、お手入れが楽というのはうれしいことですね!
しかも日本テリアは寒さが苦手。あまりに気温が低い日は、無理にいつも通りの散歩をする必要はありません。
雨が続いて冷え込むときや、ブルブル震えるような真冬は、散歩の時間を短めにするか、ボール遊びなどの室内遊びを増やしてあげましょう。
(※日本テリアの散歩については:日本テリアの散歩にて)
▼便利グッズ:犬用自動ボールシューター
犬用自動ボールシューターは、犬がボールを中に戻すと、自動的にボールが飛び出すアイテムです。
犬はボール遊びが大好きです。付き合ってあげたいのは山々でも、目の前にやるべき家事が山積みだと、いつまでも付き合っていられません。こうした便利グッズもうまく使いましょう。
日本テリアは小型犬なので、ボールが大きすぎると、うまくくわえることができません。小型犬用のものを選ぶようにしてくださいね!
↓イメージ
https://item.rakuten.co.jp/thanko/000000003259/
(5)一緒のおでかけもお手軽
犬は家族の一員です。名前を呼んだら駆け寄ってきたり、甘えて膝の上で眠ってしまったり……。子どもたちもそんな経験を重ねれば重ねるほど「一緒にいたい!」「おでかけにも連れて行きたい!」と思うことでしょう。
小型犬の日本テリアは、一緒にお出かけするのもとっても楽ですよ~。
一般的なマンションだと、廊下やエレベーターなどの共用部分では、犬を歩かせることはできません。大きめの犬だと抱き上げての移動も大変ですが、日本テリアならとても楽。成犬になっても5kgほどなので、小学生の子どもでも軽々と抱き上げることができます。
しかも日本テリアのサイズだと、電車も一緒に乗れるんです!たとえばJRのルールでは、乗車可能なペットの大きさは「容器を含めて10kg」まで。日本テリアなら問題なく乗れますよ~。
詳しいルールはホームページで確認してくださいね!
(参考)JRおでかけネット「ペットと一緒に列車に乗るには、どのようにすればよいですか。」
ただし!ネックになるのが“数の少なさ”
日本テリアって「子どもがいる家でも飼いやすそう!」と思える要素がたくさんありますよね。
ただし、実はとても高いハードルがあります。それは、日本テリアは希少な犬種だということ。とにかく手に入りにくい犬種なんです。
別記事「日本テリアの価格は?飼う前に知っておきたい値段の目安」で紹介した通り、一年間に生まれる子犬の数は50頭ほど。基本的にペットショップで見かけることはありません。
日本テリアを飼いたいと思ったら、専門ブリーダーと連絡をとりましょう。運が良ければ出会えるかも……というほど、日本テリアはとにかく入手困難な犬です。
「予約してから一年待った」というケースもあります。「どうしても日本テリアが飼いたい!」という場合は、まずは“すぐ動く”ことが肝心です。
他にも、こんな条件がクリアできるか確認を!
日本テリアを迎え入れるには、他にも用意しておくべきことがあります。ちゃんとクリアできるのか、事前に確認しておきましょう。
(1)室内飼育OKの環境を用意する
日本テリアは寒さに弱いので、外飼いには適していません。室内で飼うことをおすすめします。一軒家の場合も、室内で飼う環境を用意しましょう。
ちなみに、多くのマンションでは、飼ってもよいとされるのは、体重10kg以下の犬のみ。日本テリアならまったく問題ありません。実際に飼育OKの犬種として「日本テリア」を挙げているマンションも多いんですよ~。
ちなみにマンションで飼う場合、“ペット飼育OKのマンション”に住んでいることが大前提です。ペット可の物件なのかを確認してください。
ペット可物件なら、小型犬である日本テリアはおそらく飼育OKのはず。ただしマンションによって、さまざまな決まりがあります。
「犬を飼っていいのか?」ではなく、「日本テリアを飼っていいのか?」と具体的に確認しておくと安心ですよ~。
(2)犬アレルギーの検査をしておく
日本テリアに限りませんが、犬を飼うならまずは、子どもに犬アレルギーがないかどうかを確認しておきましょう。
犬アレルギーは、犬の毛や唾液などによって引き起こされるアレルギー症状です。咳や鼻水が出たり、くしゃみや目のかゆみなどの症状が出たり……。ひどい場合は、下痢や呼吸困難、嘔吐などを引き起こすこともあるんです。
飼ってから「犬アレルギーだった!」となると大変ですね。
実は「これまでにと触れても大丈夫だったから!」と思っていても、安心できません。なぜなら「時間が経ってから発症するタイプ」もあるからです。
実際に、飼い始めて数か月経ってから急に症状が出たという例も……。そうなると子どもがショックを受けてしまいます。そんな事態を避けるためにも、事前にアレルギー検査を受けることをおすすめします。
アレルギー検査は、耳鼻科や皮膚科、内科などで受けることができます。簡易な皮膚検査(ブリックテスト)なら、15分ほどで結果が分かります。
日本テリアを迎え入れると、10年以上の年月を一緒に過ごすことになります。最後まで責任をもって飼うためにも、ぜひ検査を受けておいてくださいね。
(3)留守番できる環境を整えておく
夫婦共働きだと、子どもたちが学校に行っている日中は、愛犬だけで過ごすことになります。留守番できる環境を整えておきましょう。
日本テリアは穏やかな性格をしているので、留守番そのものは比較的おとなしくできます。
慣れてくると「帰宅して部屋に入っても気づかないぐらい、ぐっすり眠っている」という日本テリアもいるそうですよ~。
とはいえ、上手に留守番できるようになるためには、しつけができていることが大前提です。そして、好きなおもちゃやおやつを用意しておくなど、快適に留守番できる環境を整えておくことも欠かせません。
そしてもう一つ大事なポイントが「ケガ対策」です。
小型犬の日本テリアは、手足の骨折や脱臼といった関節トラブルを起こしやすい犬種です。留守中にケガをしないよう、きちんと対策しておきましょう。
たとえば、飛び降りる危険のある高いソファや椅子を置かない、滑りやすいフローリングにはマットを敷いておくなど、関節に負担がかからないようにしてくださいね。
さらに、愛犬の様子をこまめに確認できるよう、カメラを備えておくと便利ですね。
▼便利グッズ:犬用カメラ
犬用カメラは、部屋の好きなところにセットしておくことで、スマホやタブレットを通じて留守番の様子を見ることのできるアイテムです。
いま何をしているのか、吠えていないか、いたずらをしていないかなど、一目で分かりますよ~。
▼便利グッズ:洗えるタイプのタイルカーペット
フローリングなどの滑りやすい床には、置くだけでピタッと吸着するタイプのタイルカーペットを敷いておくと安心です。
しかも洗えるタイプなら、トイレの失敗や吐き戻しなどで汚してもお手軽!汚れた部分だけはずして洗うことができます。日本テリアはとてもきれい好きなので、掃除しやすいのは便利ですよね。
(4)寒がりなので、冬は万全な防寒対策を!
長らく日本で暮らしてきた日本犬は、四季の変化に無理なく対応できます。そんな面も、洋犬とは違った日本犬の魅力ですよね!
ところが、日本テリアは超短毛。寒さが大の苦手です。たしかに、見るからに寒そうですよね……。
実際に飼っている人の体験談を見ていると「散歩に行きたがるのに、冬は外に出るとすぐにバッグに入ってくる」「冬はストーブ前が指定席」といった声も。本当に寒さが苦手なんですね~。
日本テリアだけで留守番させるなら、寒い思いをさせてはかわいそうです。万全な防寒対策をしておきましょう。毛布があると、とても喜びますよ!
嫌がらないなら洋服を着せるのも一つの手段。ペットヒーターがあれば、温度管理もしやすいですよ~。
▼便利グッズ:ペットヒーター
ペットヒーターとはその名の通り、ペット用の暖房器具です。使いやすい「ホットカーペット」のタイプは、さらに電気を使うものと使わないものに分けられます。
電気を使うタイプだと、電気代はかかりますが、長時間ぽかぽか。細かく温度調節できる製品が多いので、快適な温度に設定してあげられます。
電気を使わないタイプの場合、やや持続性は劣ります。でも「いたずらでコードを噛み切って火事になったらどうしよう!」という心配はしなくてもいいですね。
(5)犬を育てるための資金計画を立てておく
日本テリアを飼うなら、資金計画を立てておきましょう。よく言われるのが、「犬を飼うのは、子どもが一人増えるのと一緒」ということです。犬を飼うことで、とてもお金がかかるんです。
日本テリアを飼うために揃えるグッズ代、毎月のドッグフード代、予防接種代、旅行に行くならペットホテル代……家に迎えたときから10年以上、ずっとお金がかかります。
特に日本テリアは、購入価格もやや高めです。実際の販売価格は、25万円前後が大半ですが、30万円を超えることも珍しくありません。ときには60万円に及ぶこともあります。
日本テリアを一生飼うとおよそ230万円、年間コストにすると約15万円です。ざっくり「月に1万3千円」という感覚です。
小学生だった子どもたちは、いずれ中学生になり高校生になります。とてもお金のかかる時期ですよね。
これから教育費がかかる時期に、それだけの経済的な負担があっても大丈夫でしょうか?犬を育てるだけの経済力があるのかは、絶対に避けて通れない問題です。しっかりと考えてから、迎え入れてくださいね!
一緒に暮らすことで得られる楽しみは?
愛犬との暮らしは、とても楽しいもの。穏やかで賢い日本テリアは、飼い主の状況をよく見ています。
忙しそうだと思うと、少し距離を置いて様子を見ています。そして「今なら大丈夫!」と思うと、甘えてもらおうと近寄ってきます。本当にかわいいですね!
日本テリアがいれば、休日に親子で散歩に行ったり、近所の公園に遊びに行ったりするのも楽しみです。帰って来てごろんと横になり、一緒にお昼寝……というのも幸せなひとときですね。
そして子どもにとって、愛犬と一つ屋根の下で暮らすことは貴重な経験になります。学校では習わないこと、犬がいなければ学べないことを、身をもって知ることができるのです。
日々お世話をすることで、子どもは楽しさと大変さの両方を実感します。注いだ愛情に応えてくれる喜びを味わったり、突然の体調不良でたまらないほど心配になったり。そんな経験のすべてが、情緒面を大きく成長させてくれるでしょう。
母親が子どもに対して「私がちゃんとしてあげなくては」と想う気持ちを、子どもも抱くようになるのですね!
犬を飼えば、お母さんの負担は増えます。ただでさえ子育てで忙しい生活に、もう一人子どもが増えるのと同じです。
でも、子どもと一緒に犬を育てられるのは、子どもが小さいときだけ。一緒に可愛がったり、遊んだり。何より子どもがうれしそうに犬と接する姿を見るのは、母親として幸せなことですよね。
小学生の男の子がいる家庭で日本テリアを飼うのはおすすめできる?
小学生の男の子が二人いる家庭で、日本テリアを飼うのはおすすめできるのか?それともできないのか?
その答えは、「飼う覚悟」と「経済状態」次第です。
前提として、ちゃんと世話ができ、金銭面に問題がないのなら、子どもが小さいうちから飼うことで、得られるものがたくさんあります。
犬を愛おしいと思う気持ちや、お世話しなければと思う責任感、できるだけのことをしてあげようという思いやり。子どもたちは犬がいることで、豊かな心を育みます。
それに「犬の頭をなでるとほっとする……」というお母さんは多いもの。犬は言葉をしゃべることができません。でも、飼い主の気持ちを読み取ろうと、やさしい瞳でじっと見つめてくれる……そんなかけがえのない絆は、子育てで多忙なお母さんの心を癒してくれます。
でも、理想の環境でたっぷりと愛情を注ぐためには、お金も必要です。
日本テリアを飼うことで、200万円以上のお金を使うことになります。病気になれば、さらにコストは膨らみます。
「その分、旅行に使ったほうがいい!」と思うのも、一つの考え方かもしれません。住宅ローンの支払いが大変だったり、給料が安定しなかったりする場合も、飼うのは見送ったほうがいいでしょう。
また、タバコを吸う方は、吸い殻の誤飲や副流煙の問題があるので、そもそも飼うのはNGです。
ペットと暮らすための環境を整えることができ、最後まできちんと飼う覚悟があるなら、日本テリアとの生活がたくさんの幸せを運んでくれることでしょう。
愛犬は家族です。必要なお金をちゃんとかけて、たっぷりの愛情を注いで、大事に飼ってくださいね!
まとめ
日本テリアは、小学生の男の子がいる家庭でも比較的飼いやすい犬種です。ただし入手困難で費用も高額なので、高いハードルをクリアする必要があります。その他、暮らしやすい条件を整えておくことも欠かせません。
子どもたちはいずれ思春期に入ります。どんなときも子どもの側にいて、愛情に応えようとする愛犬の存在は、子どもの心の拠りどころになってくれるでしょう。
もしすべての条件を揃うなら、 “日本テリアとの生活”を叶えてください。日本テリアは絶滅の可能性も指摘されるほど、希少な犬種です。大事に飼うことが、明るい未来への一歩になるかもしれません。
価格の相場や人気の日本テリアなど、飼う前に知っておきたい情報を別記事で紹介しています。ぜひあわせてご覧くださいね!