子育てや仕事がひと段落し、時間の余裕ができるシニア世代。犬を飼いたいと思うものの、年齢や体力などを考えると迷うご夫婦も多いのではないでしょうか?
シニア世代が飼う場合、一般的には“穏やかな小型犬”が適していると言われます。では、“座敷犬”として可愛がられてきた狆はどうなのでしょうか?この記事では、「リタイア後の60代夫婦」が狆を飼うことは、おすすめできるのかどうかを検証しました。
目次
狆は比較的“飼いやすい犬”です
結論から言えば、リタイア後の夫婦が犬を飼うなら、狆はおすすめできる犬種です。
狆は、古くは将軍や大名からも可愛がられた“お座敷犬”。「行儀良くて手がかからない」「散歩が楽」など、リタイア後の60代夫婦が飼うには、うれしい条件がたくさん揃っています。具体的なポイントを見てみましょう。
(1)軽くて小さい!
シニア世代が犬を飼うなら、やはりおすすめは小型犬です。
大型犬だと、抱っこするときに大変です。ましてや将来介護することになったら、シニア世代にはかなりの負担になってしまいます。
その点、狆なら安心!狆という名前の由来は「ちいさいいぬ」なんだとか。次第に縮まって「ちん」と呼ばれるようになったと言われています。
狆の体重はおよそ4~5kg。成犬になっても3kgぐらいの狆もたくさんいます。中には「うちの子2.8キロです」というケースも!
しかも体高も体長も25cmほど、丸くてころんとしているので、抱っこもしやすいですね!
(2)あまり吠えず穏やか!
体力は、年齢を重ねるごとに低下するもの。穏やかなセカンドライフを過ごしたいと考えるなら、おとなしく落ち着いた犬種が向いています。
狆はとても穏やか。やたらと吠えたり、はしゃぎ回ったりしません。とにかく行儀のいい犬です。
中には「狆は花のように愛でる犬です」と表現する飼い主も!さすが、古くから将軍や大名と言った上流階級の犬として寵愛された犬だけあります。
小型犬ですが吠える声がさほど甲高くないので、あまり気になりませんし、そもそもすぐ鳴きやみます。
実際に飼っている人の体験談を見ていると、「飼い始めてから、今まで一度も吠えたことはありません」「そういえば今まで一度も吠えたことがありません」という声もあるほど!本当におとなしい犬なんですね~。
ただし、もちろん個体差があります。中には「この子はホント狆??」と飼い主が思ってしまうような、活発な狆もいます。狆を迎え入れるなら、できれば親犬の性格なども見てから決めると安心ですね。
(3)人懐っこくフレンドリー
日本生まれの犬といえば、柴犬や秋田犬が代表例。独立心が強く、実はあまりベタベタすることを好みません。
一方の狆は、日本原産の犬ではありますが、ずっと愛玩犬として飼われてきたからか、人間が大好き。とても人懐っこい性格をしています。きっと洋犬寄りの性格なのでしょう。
子どもが独立して寂しい、犬といつも一緒にいたい、たくさん遊びたい……そう考えているなら、人懐っこい狆はぴったりです。
そして来客に対しても、比較的フレンドリーに接します。子どもとの相性もいいので、将来お孫さんが生まれたときも、きっと仲良くしてくれるでしょう。
(4)さほど長時間の散歩は不要!
かなり運動量を必要とする犬だと、日頃の散歩や遊びが大変です。シニア世代にとっては、高いハードルになってしまいます。
たとえば柴犬なら、散歩の目安は「朝夕30分ずつ×2回」。要は“1日トータル1時間”散歩するということです。
暑い日も寒い日も、毎日です。ずっと続けるとなると、シニア世代にとってはかなりの体力と根気が必要ですね。
狆は身体を動かすことは大好きですが、さほど長い時間の散歩は必要ありません。散歩は1日20~30分ほど、気分転換を兼ねて連れ出す程度で問題ありません。お天気が悪ければ、室内遊びで十分だと言われています。
狆の散歩量なら、シニア世代にも大きな負担はかかりません。むしろ、いい運動の機会になりますね。
60代夫婦が狆を飼う基本条件
60代夫婦が狆を飼い始めるなら、避けて通れないのが「最後まできちんと面倒をみられるのか?」という問題です。
狆の寿命の目安は12~14歳。ひとたび迎えたら、お付き合いは狆が寿命を迎えるその日まで続きます。60歳で飼い始めたとしても70代半ばまで、場合によっては80歳近くまで一緒に過ごすことになるのです。
シニア世代に入ると、状況が大きく変わっていきます。健康上と経済的な理由から、犬の世話がだんだん大変になっていく飼い主も少なくありません。
たとえば、「体力が落ちてきて、世話をするのがしんどい」「夫(もしくは妻)が急きょ入院し、思うように犬の世話ができない」「犬の健康が気になるが、金銭的負担を考えると動物病院へ連れていくかどうか迷ってしまう」といった状況は、決して他人事ではないのです。
自分に万が一のことがあったときには、他の誰かに世話を頼むことができるでしょうか?
家族や親戚、友人・知人などが引き取って面倒を見てくれるのか、確認や打診をしておくことをおすすめします。
短期なら、民間サービスに頼ることもできるでしょう。費用はどれぐらいかかるのか、その費用を捻出できるのか、事前に確認しておきましょう。
家族や親戚が飼うことができない場合、それ以外の新しい飼い主を探さなければなりません。いざ
というときに頼れる動物愛護団体をリサーチしておく事前準備も必要です。
他にも、こんな条件がクリアできるか確認を!
狆を迎え入れるには、他にも用意しておくべきことがあります。ちゃんとクリアできるのか、事前に確認しておきましょう。
(1)室内飼いできる環境を整える
シニア世代にとって「犬を飼う」というと、外飼いのイメージがあるかもしれません。
でも近年では、犬を家族の一員として室内で飼うスタイルが定着しています。何より狆は、古くから室内犬として飼われてきた犬です。狆を飼うなら、室内で飼える環境を整えてほしいのです。マンション暮らしの方は、ペット飼育可であるかどうかも必ず確認してください。
では、室内飼いできる環境とはどのようなものを指すのでしょうか?飼う前にぜひ知っておきたいポイントを紹介します。
ポイント(1)誤飲の可能性があるものは片付ける
犬を飼ったことがある方ならご存じかと思いますが、犬は驚くようなものまで口に入れてしまいます。誤飲の可能性があるものは片付けてくださいね。
特に、クリップや輪ゴム、アクセサリーなどの小物類は要注意。薬も絶対に手の届かない場所に収納してください。
食べ物の管理にも気をつけましょう。チョコレートやナッツ類、玉ねぎのように、犬が食べると中毒症状を起こす食べ物もあります。食べ物の匂いが付いたラップやビニール袋も要注意です。焼き鳥や団子のついた串も見つけて、飲み込む場合があります。
タバコは誤飲の危険性が高いので、誤飲すると大変なことになります。そもそも副流煙の問題があるので、室内でタバコを吸うなら狆を飼うことはできません。
そして、シニア世代が気をつけたいのが「湿布」です。
肩こりで湿布を貼り、腰が痛いので湿布を貼り……と何かと使いますよね。夫婦二人で暮らしているなら、使用済みの湿布をゴミ箱に捨てても大丈夫です。でも犬がいると、それが危険なんです。
というのも、意外なことに「湿布を丸飲みしてしまった!」という誤飲事故がとても多いから。においに反応するのでしょうか?中には引き出しに閉まってあった新品を取り出して……というケースもあったのだとか。
湿布を飲み込んでしまったら、腸閉塞になる可能性があるため、基本的に開腹手術が必要になります。特に好奇心おう盛な子犬の時期は注意が必要です。
誤飲の可能性があるものを把握し、細やかに配慮しながら暮らせるのか、ご夫婦でしっかりと話し合ってくださいね。
ポイント(2)室内に置いている植物に注意!
シニア世代にとって、園芸は楽しみの一つ。手をかけることで日に日に成長し、花を咲かせると、心にゆとりをもたらしてくれます。花屋に行って季節の花を買い、活けるのも幸せなひとときですよね。
ただし、室内に鉢植えや花瓶を置いているなら要注意。植物によっては、犬が食べると中毒症状を起こすものもあるからです。
たとえばチューリップやクリスマスローズ、ユリ、ポインセチア、アロエ、観葉植物ならアイビーやポトス。人間にとってはなじみ深い植物が、犬にとっては食べると危険な対象なのです。
危険なものをすべて把握して、置かないようにするのか、それとも絶対に手の届かないところに置くようにするのか、ご夫婦で話し合ってくださいね。
ポイント(3)ケガ対策も万全に!
狆は小型犬のため、手足の骨折や脱臼といった関節トラブルにも気を配る必要があります。特に、まだ体ができあがっていない子犬の頃は要注意。留守中にケガをしないよう対策しておきましょう。
たとえば、飛び降りる危険のある高いソファや椅子を置かないのが理想です。撤去がむずかしいなら、入れないように仕切り柵を設置しておくと安心です。
滑りやすいフローリングを走っていると、転倒事故につながる可能性もあります。滑り止めのワックスを塗ったり、マットを敷いたりと、関節に負担がかからないようにしてください。
▼便利グッズ:ペットパーテーション(ペットフェンス)
ペットパーテーションを設置することで、危険な場所への立ち入りを防ぐことができます。玄関やキッチン、階段などへの出入り防止に、ゲートとして使うこともできます。
木製やスチール製など素材もさまざま。部品を買い足せる組み立て式にすると、後から枚数を増やして違った使い方もできて便利です。
▼便利グッズ:洗えるタイプのタイルカーペット
フローリングなどの滑りやすい床には、置くだけでピタッと吸着するタイプのタイルカーペットを敷いておくと安心です。
しかも洗えるタイプなら、トイレの失敗や吐き戻しなどで汚してもお手軽!汚れた部分だけはずして洗うことができます。狆はとてもきれい好きなので、掃除しやすいのは便利ですよね。
(2)留守番できる環境を整えておく
ときにはご夫婦二人とも出かけて、犬だけで留守番する機会もあるでしょう。狆は比較的おとなしく留守番できますが、快適に留守番できる環境を整えておくことは欠かせません。ポイントを紹介します。
ポイント(1)お気に入りのおもちゃを用意する
おもちゃがあれば、留守番時の退屈防止になります。特に、まだ留守番に不慣れな頃は、気に入って遊ぶおもちゃを用意しておくことをおすすめします。
留守中に犬だけで遊ぶのですから、安全性の高いものを選ぶことがポイントです。「丈夫で壊れにくくい」「丸飲みする危険性がない」という点を意識して選びましょう。
▼便利グッズ:コング
「コング」とは、噛んで遊べる犬用おもちゃです。「これがあると楽しく遊んでくれる!」と人気の定番おもちゃで、天然ゴム100%なので安心して愛犬に与えることができます。
特徴は、犬の「噛みたい」という欲求を満たせること。とても丈夫な作りなので、噛むことで歯やアゴを鍛えることができます。噛むことで歯垢除去にもつながるので一石二鳥です。
留守番に使うなら、中におやつを入れておくといいでしょう。おやつを食べたいという一心で、長時間遊んでくれます。
ちなみにサイズがいろいろあります。狆には小型犬用の「XSサイズ」を選ぶようにしてくださいね!
http://kongjapan.com/product/kong.html
ポイント(2)夏の留守番はエアコンをつけっぱなしに!
お住まいの地域にもよりますが、夏の留守番は、エアコンをつけっぱなしにすることをおすすめします。
狆は古くから日本の気候で暮らしてきた犬種ですが、なにぶん鼻ぺちゃの犬種のため、体温調節がやや苦手です。ジメジメとした空気も苦手です。
窓を締め切った室内は風通しが悪く、熱がこもります。このような部屋で留守番すると、熱中症になる恐れがあります。
もちろん留守番以外のときも、基本的にはエアコンによる温度管理や湿度管理が理想です。ご夫婦二人暮らしと比べて「夏は電気代が増える」ということを飼う前に知っておいてください。それだけの予算がかけられるのかも、きちんと検討してくださいね。
▼便利グッズ:犬用クールマット
暑い夏の留守番には、エアコンに加え、ひんやりした感触の「犬用クールマット」を使うとさらに快適です。
たとえば、ひんやり感の持続を重視するなら「アルミタイプ」、柔らかさを重視するなら「ジェルタイプ」など、状況や愛犬の好みに合ったものを選ぶとよいでしょう。
(3)毎日ブラッシングしましょう!目のケアも大事です
狆は毛が長いため、できれば毎日ブラッシングしてあげましょう。
抜け毛はそれほど多くありませんが、なにぶんストレートで柔らかいため、放っておくと毛玉になってしまいます。
毛玉になってから無理にとかすと、痛がってケアを嫌がるかもしれません。こまめなケアが理想です。
そして狆は、目頭と鼻先が近くにあり、涙やけを起こしやすい犬種です。予防のためにも、乾いた布やコットンでこまめに拭いてください。
▼便利グッズ:涙やけクリーナー
目のまわりの汚れをとることは大事ですが、無理やりとろうとするのはNG。皮膚を傷め、かえってトラブルを招きます。
そこで活用したいのが、目のまわりの汚れをとるためのケア用品「涙やけクリーナー」です。
涙やけクリーナーを染み込ませたコットンでふき取ることで、負担をかけずに汚れを取り去ることができます。「涙やけ除去剤」という名前で売られていることもありますので、探してみてください。
さまざまな製品がありますが、デリケートな目のまわりに使うもの。自然天然成分100%のものを選ぶと安心ですね。
https://item.rakuten.co.jp/idog/crtn011/
(4)病気への備えは十分に!
狆に限りませんが、犬を飼うと病気になることもあります。犬には人間のような健康保険制度がありませんから、医療費は100%飼い主が負担することになり、高額の医療費がかかります。
犬も人間と同じ、年齢を重ねると病気のリスクが上がります。たとえば狆はシニアになると、心臓疾患が増える犬種です。それまで健康だったのに、健診に行ったら心雑音が聞こえて、そこから投薬が始まる……というケースは珍しくありません。
狆が高齢になるということは、飼い主であるご夫婦は、今よりさら年齢を重ねているということです。
年金暮らしの中、いざ数十万円という手術代を告げられたときに、躊躇せず手術を受けさせてあげられるだけの備えはあるでしょうか?
いま一度貯蓄などを見直し、病気への備えは十分しておきましょう。いざというときのために、ペット保険に入っておくのも一つの選択肢です。詳しくは別記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
一緒に暮らすことで得られる楽しみは?
仕事をリタイアして、のんびり第二の人生を楽しもうと思っていても、いざ時間ができると「何をしたらいいのやら?」というのはよくある話です。女性は子どもが独立すると心にぽっかり穴が開き“空の巣症候群”に陥る場合もあります。
そんな夫婦にとって、愛玩犬ならではの魅力を備えた狆は、まるでアイドルのような存在です!
くりくりとした大きな目、細くて柔らかいシルキーな被毛、ぺちゃっと鼻が潰れたチャーミングな顔立ち。そしてめいっぱい甘えてくる愛らしさは、ご夫婦を幸せな気持ちにしてくれます。
「飼っているとじわじわと可愛さが増す」「一度狆を飼うと狆しか飼えない」とは、狆の飼い主が口を揃えていう言葉です。
そんな狆は、ご夫婦の会話をスムーズにしてくれるはずです。二人で暮らしていれば「おい」「はい」「あれ」「はいはい」といった、短いやりとりしかないご夫婦もいるかもしれません。
でも狆を飼えば、共通の話題ができます。すると自然と話すことが増えたり、一緒に外出する機会も増えたり。狆が喜びそうなお出かけスポットを、ご夫婦で探すのもいいですね!
そうなんです!狆がいれば、自然とお出かけの機会も増えます。適度な運動は健康の基本です。一緒のお出かけは愛犬も喜びますし、飼い主も健康になります。まさに一石二鳥、何より楽しみが増えますね!
リタイア後の60代夫婦が、狆を飼うのはオススメできる?できない?
第二の人生に踏み出そうとする60代夫婦が狆を飼うことは、おすすめできるのか?それともできないのか?
犬を飼いたいと考えているなら、狆はおすすめできる犬種です。小さくて軽く、穏やかで上品、長時間の散歩も必要ありませんから、シニア向きと言えます。
ただし狆を飼うということは「命を預かる」ということです。そのためには飼い続ける覚悟と、金銭的な備えも必要です。
そして、ケガや誤飲などのトラブルを防ぐために、ご夫婦二人で生活環境を整えなくてはいけません。
湿布を無造作にゴミ箱に捨てる、食べ終わった焼き鳥の串をそのまま食卓の上に置いておく、薬の飲み忘れを防ぐために分かりやすい場所に出しておく……そんな生活をがらりと変えなくてはなりません。
ご夫婦にもしものことがあったときにどうするのか?きちんと準備しておくことも欠かせません。「何とかなるだろう」といった軽い気持ちでは、犬も飼い主も不幸になる可能性があるのです。
狆はシニア世代にとって飼いやすい犬、でも相応の覚悟と準備が必要だということです。
もしも、犬中心に生活をする覚悟があるなら、金銭的なこともクリアできるなら、狆との生活がたくさんの幸せを運んでくれることでしょう。
愛犬は家族です。必要なお金をちゃんとかけて、たっぷりの愛情を注いで、大事に飼ってくださいね!
まとめ
狆は、リタイア後の60代夫婦でも比較的飼いやすい犬種です。控えめな性格で、あまり吠えません。気品のある物静かな犬です。もしすべての条件が揃うなら、ぜひ“狆との生活”を叶えてください。
価格の相場や人気の狆など、飼う前に知っておきたい情報を別記事で紹介しています。ぜひあわせてご覧くださいね!