日本犬とは?
日本犬とは、古くから日本に住んでいる“日本原産の犬”の総称です。
ずっと昔から住んでいるということは、そう、日本の気候によく合うんです!
暑い夏や寒い冬でも、ちゃんと元気に育ってくれます。
そんな日本犬は、大きく3つに分かれます。
和犬 | 古くから日本にいる純粋な日本犬。6種類。 |
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日本原産の犬 | 外来種を元に交配して作られた日本犬。5種類。 |
地犬 | 日本各地で、特定の地域にだけ生息する犬。 |
和犬と日本原産の犬、そして地犬。それぞれについて、順番にお伝えします。
和犬(日本犬)の6種類一覧
まずは、和犬6犬種を見てみましょう。
一般的には「日本犬」というと、この和犬のことを指しますよ!
- 秋田犬(あきたいぬ)
- 柴犬(しばいぬ)
- 甲斐犬(かいけん)
- 四国犬(しこくけん)
- 紀州犬(きしゅうけん)
- 北海道犬(ほっかいどうけん)
ここに挙げた6犬種はすべて天然記念物に指定されています。
自宅で天然記念物が飼えるって、なんだか不思議な気がしませんか?
和犬は大きさにより、大型犬と中型犬、小型犬に分かれています。
日本犬6種類の中で大型犬は秋田犬のみ。
逆に小型犬は柴犬だけ。
残り4種類はすべて中型犬となっています。
また、一言で「和犬」といっても、大きさだけではなく毛色や体つきも違います。
「我が家で飼うならどの子かな~」と迷っている方のために、和犬について順番にお伝えします。
日本犬の種類(1)秋田犬(あきたいぬ)
天然記念物指定年度 | 昭和6年(1931) |
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秋田犬は、秋田県原産の和犬です。
渋谷駅前の銅像にもなった「忠犬ハチ公」のエピソードでも有名ですね。
「あきたけん」とも読まれますが、正式には「あきたいぬ」です。
日本犬の中で、最初に天然記念物に指定された犬種でもあります。
秋田犬の分類は大型犬で、もとは闘犬でした。
だから体はがっしりとして筋肉質!堂々としていて、とてもかっこいい犬なんです。
飼い主には忠実ですが、見知らぬ人へは警戒心をもちます。
力も強いので、きちんとしつけてあげることが大切です。
(参考)秋田犬の特徴
秋田犬といえば!ロシアのプーチン大統領が2012年に来日した際、秋田県知事が秋田犬「ゆめ」を贈ったエピソードも有名ですね。
日本犬の種類(2)柴犬(しばいぬ)
天然記念物指定年度 | 昭和11年(1936) |
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柴犬は、和犬の中で唯一の小型犬です。
(といっても厳密には小型の中型犬サイズですが。)
柴犬はとにかく人気!
日本で飼われている日本犬のうち、なんと約80%が柴犬なんだとか。
柴犬といえば、三角形のピンと立った耳が目印。
子犬のうちは耳が垂れていて、愛くるしい姿に夢中になってしまいます!
可愛いイメージがある柴犬ですが、昔は猟犬として活躍していました。
だから勇敢で賢く、飼い主には忠実です。
その一方で、知らない相手には警戒心をもつので、番犬としても活躍してくれますよ~。
(参考)柴犬の特徴
近年では、柴犬の小型版である豆柴も人気です。
「可愛い犬が好き!」でも「柴犬は好きだけど、大きくなるとお世話が大変」という場合は、豆柴がおすすめです。
詳しくは「豆柴の特徴は?性格や寿命、大きさを解説」の記事をご覧くださいね。
(参考)豆柴の特徴
日本犬の種類(3)甲斐犬(かいけん)
天然記念物指定年度 | 昭和9年(1934) |
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甲斐犬は、山梨県(甲斐地方)原産の和犬です。
甲斐犬は筋肉質でがっしり。
毛の模様はまるで虎のよう。色合いによって「黒虎毛」「中虎毛」「赤虎毛」の3種類に分かれます。
甲斐犬は、とにかく飼い主に従順!
飼い主に一生尽くすので「一代一主の犬」とも呼ばれています。
ただその反面、飼い主以外の人や他の犬に対しては、強い警戒心をもちます。
近所を散歩したり、ドッグランを利用したりするときには、気をつけてあげてくださいね!
(参考)甲斐犬の特徴
日本犬の種類(4)四国犬(しこくけん)
四国犬は、高知県原産の和犬です。
「あれ?高知の犬といえば、土佐犬じゃないの?」と思うかもしれませんね。
土佐犬と聞いて想像するのは、首にしめ縄を巻いて、まわしを付けた貫禄のある犬。実はあの犬は「土佐闘犬/土佐犬」と言って、別物なんです。
四国犬は元々、四国の山中で猟犬として飼われていました。
オオカミに似た野性味ある姿が、とても勇ましいですよね!
他の和犬と同じで、飼い主にはとても忠実です。
でも知らない相手には警戒心を持ちます。
賢いので見境なく攻撃することはありませんが、愛情をもってしつけてあげることが大切ですよ~。
(参考)四国犬の特徴
日本犬の種類(5)紀州犬(きしゅうけん)
天然記念物指定年度 | 昭和9年(1934) |
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紀州犬は、和歌山県原産の和犬です。
紀州犬の特徴は、その真っ白な毛並み!頭の先から尻尾まで、とにかく真っ白なんです。思わず触りたくなるような、きれいな毛ですよね。
紀州犬は、もともと狩猟犬として活躍していました。とても勇敢で、イノシシを倒すほどなんですよ~。
と聞くと、「気性が荒いのでは?」と気になるかもしれませんね。
でも大丈夫!
とても賢いので、きちんとしつけてあげれば優秀な番犬になります。
実際には日本犬の中で、柴犬に次いで飼育数が多いのが紀州犬なんですよ!
(参考)紀州犬の特徴
日本犬の種類(6)北海道犬(ほっかいどうけん)
天然記念物指定年度 | 昭和12年(1937) |
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北海道犬は、かつて「アイヌ犬」と呼ばれていた和犬です。
近年では、ソフトバンクCMの“お父さん役”としても人気を集めました。
お父さんのイメージで、「白い犬」というイメージもあるかもしれません。実は白以外に、赤や黒褐色、灰色などの北海道犬もいますよ~!
ちなみに「アイヌ犬」と呼ばれていたのは、北海道の先住者であるアイヌ民族が飼っていたから。
ヒグマやエゾシカなど、自分より大きな動物を相手に、猟犬として活躍しました。
他の和犬と同じく、他の動物には闘争心を見せることがあります。
でも飼い主がリーダーシップをとれば大丈夫!きちんとしつけてあげてくださいね。
(参考)北海道犬の特徴
日本犬(日本原産の犬)の種類一覧
ここまで、天然記念物に指定されている和犬6種類を見てきました。
「日本犬!」というと、厳密にはこの6種類。
でも、もう少し範囲を広げると、次の5種類も日本犬と呼ばれます。
- 狆(ちん)
- 土佐闘犬(とさとうけん)
- 日本テリア
- 日本スピッツ
- アメリカン・アキタ
和犬とどう違うかというと、日本原産の犬種には外来の犬種の血が混じっています。
たとえば土佐闘犬は、ブルドッグやグレートデンといった犬種の血を引いています。
たしかに皮膚のたるみ具合や顔つきが、どことなく似ていて納得ですね!
日本犬の種類(7)狆(ちん)
狆はかつて、貴族や将軍家、大名家など、上流階級のお屋敷で可愛がられてきた“お座敷犬”です。
時代劇を見ていると、小さい犬が出てきますよね?
将軍のお膝にチョコンとすまして座っていたり、紫色のフカフカの座布団に優雅に座っていたり。あれが狆!
いかにも“おいぬさま”という雰囲気ですよね~。
最近で言えば、2018年の大河ドラマの「西郷どん」で、島津のお由羅様が抱っこしていた犬がこの狆ですね。
狆は小さくて愛らしく、前に垂れた耳もとても可愛い犬です。
上品な佇まいも、室内犬にぴったりです。
人のそばで長く暮らしてきたので、飼い主の様子をじっくり見て賢くふるまいます。
その分、やや神経質な面もありますが、おとなしくて愛嬌のある犬ですよ!
(参考)狆(チン)の特徴
日本犬の種類(8)土佐闘犬(とさとうけん)
土佐闘犬は、“闘犬大国”だった土佐の地で、闘犬用に作り出された犬です。
いかつい顔つきと、がっしりした体つきがかっこいいですよね!
成長すると、60kgほどになります。
土佐闘犬はその強そうな見た目から「乱暴なのでは?」「ものすごく吠えそう」と思われがち。
でも元はといえば温厚でおとなしい犬なんですよ~。
見た目と裏腹のおとなしさに「番犬には向かない」とも言われるほど。
きちんと飼えば、しつけにも従順です。
(参考)土佐犬の特徴
日本犬の種類(9)日本テリア
テリアというと洋犬のイメージですよね?
じつは日本にもテリア種がいます。
それが日本テリア!
日本テリアはテリアの中で、唯一日本で生まれた品種なんです。
日本テリアの毛は、まるでビロードのよう。
滑らかで艶があって、思わずなでたくなる美しさです。
日本テリアの歴史をさかのぼれば、神戸に辿り着きます。
日本テリアは、主に神戸で小型の愛玩犬として可愛がられたのだとか。
「神戸テリア」という別名も残っています。
ちなみに日本テリアは毛が短いので、冬の寒さは苦手。
日本の犬とはいえ、外飼いには適していません。
日本テリアは穏やかで人懐っこいので、初心者でも育てやすい室内犬ですよ~。
(参考)日本テリアの特徴
日本犬の種類(10)日本スピッツ
日本スピッツは、真っ白でフワフワの毛が愛らしい犬です。目は真っ黒でアーモンド型。何とも言えない愛嬌がありますよね~!
体は小さいけれど、とても大胆で活発。うれしいことがあると、全身で喜びを表します。その天真爛漫な性格も、飼い主としてはたまらない可愛さです。
日本スピッツは聡明で愛情深い犬です。飼い主の言うこともよく聞きます。
警戒心が強く「無駄吠えが多い」と言われることもありますが、しつけ次第。信頼関係を築いて環境を整えてあげると、ひどくならないと言われています。
(参考)日本スピッツの特徴
日本犬の種類(11)アメリカン・アキタ
アメリカン・アキタは、秋田犬をルーツとする日本原産の犬です。その名の通り、アメリカで育った秋田犬なんです。
第二次世界大戦が終わった後、アメリカ兵が秋田犬を本国へと連れ帰りました。そしてアメリカの風土に合うように改良を加えて生まれたのが、アメリカン・アキタです。
たしかに、秋田犬と全体的な雰囲気がよく似ていますね!
ただしアメリカン・アキタのほうがやや顔がシャープ。シェパードのような顔つきです。
アメリカン・アキタは秋田犬と同じく、骨太でがっちり!
大きくなるので上級者向けの犬ですが、学習能力が高く、飼い主にも従順です。
(参考)アメリカン・アキタの特徴
主な日本犬(地犬)の種類
ここまで日本犬を11種類紹介しました。
「日本犬ってこんなにいたの!?」という印象ですよね~。
じつは他にも日本犬がいるんです。
それが特定の地域のみに生息する「地犬(じいぬ)」です。
- 川上犬(かわかみいぬ)
- 琉球犬(りゅうきゅういぬ)
- 薩摩犬(さつまいぬ)
- 十石犬(じっこくいぬ)
- 美濃柴犬(みのしばいぬ)
- 山陰柴犬(さんいんしばいぬ)
- 肥後狼犬(ひごろういぬ) など
この中で、長野県・川上村で育つ「川上犬」と沖縄県の「琉球犬」は、県の天然記念物に指定されています。
地犬には地名がついていて、代々土地で飼われてきたことが分かりますね。
風土や気質にあった固有の犬であることが、地犬の特徴です。
長く日本の暮らしに寄り添ってきた地犬ですが、残念ながら、絶滅寸前といわれる「岩手犬」や「三河犬」の他、既に絶滅してしまった地犬もいます。
とはいえ、各地で保存活動が行われています。
(参考)美濃柴犬の特徴
「いぬ」と「けん」の読み方の違いについて
どの犬に関しても、慣例としては両方の読み方があるようです。
柴犬も「しばけん」「しばいぬ」どちらも呼びますし、秋田犬も同様、「あきたけん」「あきたいぬ」の2種類の呼び方があります。
ただ、日本犬の関係団体では読み方が決まっており、また団体によって読み方が違っていて、そこもややこしいところ……。
当サイトでは、NHKの解釈がもっとも妥当であると考えて、こちらを参考に使い分けています。
(参考)「○○犬」の読み方は「~イヌ」?「~ケン」? | ことば(放送用語) | NHK放送文化研究所
まとめ
近年では、トイ・プードルやチワワなどの小型洋犬が人気です。一方で、昔と比べて日本犬を見る機会が減った気がします。
日本犬は、長年日本の環境の中で育てられてきた犬。四季のある日本でも育てやすくて賢くて、愛情深くて……家族の一員になるにはぴったりです!
(参考)日本犬の購入